ヤラセ?八百長?触らずに相手を倒す合気道の技術の理屈
なぜ触らなくても人が倒れるのか?
武道武術には、相手を触らずに倒す技、なんてのが存在しています。
合気道でも開祖がそんなことをやっていたり、柔道でも空気投げがあります。
そういう技について回るのが「ヤラセ」や「八百長」じゃないかって疑惑です。
中にはヤラセや八百長もあるので話がややこしくなるのですが、実際にサッカーやバスケでもフェイントをかけたりして相手を転ばせるってことがあります。
理屈さえわかってしまえば、話としては非常に単純です。
触れられた状態でできることは、距離があっても同じように作用させられればできるということです。
受ける側は相手の攻撃がくることを理解しているからこそ倒れます。
このような攻めと受けの協力によって触れずに倒れるというものが実現します。
条件の設定ができていれば、再現することはそれほど難しくありません。
株なんかで「こういう条件なら下がるよねー」ということがわかっていれば売り抜けることができるとか、
メニューの中に同じようなものを値段の高いもの、中間のもの、低いものと並べると、中間のものがよく売れるとか、(2)
知らない人から見ると不思議に見えても、知っている人には当たり前のことをやってるだけという話です。
もちろん、わからなければ受けは攻撃を受けてしまうということです。
触らなくても倒れるというのは、触ったら倒れるからです。
物理的に正しい方向性と角度とタイミングで、ここでこう触られたら倒れる、ということができたなら、触らなくても同じように作用できるということです。
触っても倒れないような攻撃や動きでは、触れずに倒すことなんてできません。
触れられるとヤバイということが理解できるからこそ、攻撃に触れることなく倒れるという現象が起こるのです。
そうしたことがてっとりばやく理解できるのが下の動画になります。
これは動画だけだとわかりにくいですが、便所ブラシを使って触れずに倒されるということを理解させています。
※動画ではちゃんと新品の便所ブラシを使用しています。
汚い便所ブラシがいわば武器の攻撃のようなものです。
もちろん触りたくないので、触られる前に倒れてしまうというわけです。
ちなみにこれを見てある先生が「こいつぁいいや!」と弟子を使って試した所、
先生が便所ブラシで自分を叩くなんてことをするはずがない!と先生を信じ切っていた弟子はマトモに便所ブラシを受けてしまったという笑い話があります。
攻撃を受けてしまうのにも、受ける前に倒れるのにも色々理由があるってことですね。
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動画で指導をしている益多 肇先生の記事です。
四教論:なぜ合気道の技法には「教」の字が使われているのか?
参考文献
(1)合気でもない、気功でもない! 益多 肇の「触れずに倒す」理屈解説
(2)ダン・アリエリー著『予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」(Amazon)
人を誘導するメニューの作り方をはじめとして、色んな人間の心理をついた研究が載っています。