科学から考える武道武術の「視線」
当ブログでは一見すると精神的な現象もやっぱり物理の影響を受けてるよってことを主張しているわけですが、けっこうおもしろい研究が出て来たんで紹介しときます。
まずは人間は視線を実は物理的ビームだと思ってるという研究。
多くの人は視線には別に物理的な効果がないと思ってますが、無意識では圧があると思ってるってるってことが実験でわかったよという話しです。
この実験は説明するのが謎にややこしいんですが、ボタンを押すと徐々に奥に板が倒れて行く装置があってどのくらい傾いたら板はそのまま倒れてしまうかを予測してみてくださいという実験なのですが、
この時、反対側に人の横顔の写真があって板を見つめていると思っていると、ない時よりも余計に板が傾いてもまだ倒れないと思い込むそうです。
参考文献:人は「視線」を物理的特性を持ったビームのようなものだと暗黙のうちに考えている(Gigazin)
人は視界に入った目線を意識しやすかったりするわけですが、だいたい何かから見られているという状況は古来においては捕食者に狙われている状態だったわけで、
人は本能的には視線に危機感を抱きやすいんじゃないかと思います。
それを踏まえた上でもうひとつ面白い研究が視点を一点に固定させるのがうまい人ほど精密な動作がうまいという話し。
これはバスケのプレイヤーでもシュート成功率が高い人と低い人は何が違うのかというのを調べた結果、上手い人の方が視点を一点に留める時間が0.2秒くらい長かったという研究です。
で、これで何がわかったのかというとシュート成功率などの精密さが要求される動作は身体能力の高さよりも集中力が大事ってことです。
レベルの高い人ほどほんの一瞬ではあるけれどゴールなど対象を見ている時間が長いのだとか。
要するに一点への集中力です。これは武道武術でも大事なことでしょうし、ポイントはどこに集中するかってことになるでしょう。
参考文献:プロスポーツ選手の視線が重要な局面で空間のある一点に定まる「Quiet Eye(視線固定)」はどのようにして起きるのか?(Gigazin)
で、何に集中したらいいのかってことですが、ここで猪木アリ状態ならぬヘビに睨まれたカエル状態についての京都大学の研究を持って来ましょう。
これによるとヘビに睨まれてカエルが動けなくなるというのは実は間違いで、ヘビもカエルも動けないのだとか。
これは完全に拮抗した状態で、先に動いた方が対応されて負けるという極限状態が発生しているんだそうです。
参考文献:カエルとヘビの膠着状態のメカニズムを説明 -双方にとって後手に回って行動することが有利となる(京都大学)
視線が物理的なビームとして感知されているというのはたぶん生物でも一緒なんじゃないかと思います。そしてひとたび狙われると相手の圧を感知できる。
この時、攻める側はどこに集中するか? 武道武術では中心を取るなんて言葉がありますが、そういうところが大事になってきそうです。
そして拮抗して相手を先に動かして崩す。こういうのは触れずに相手を崩すメカニズムにも近いように思います。目線を物理として感知しているからこそ仕掛けられる崩しもあるでしょう。
まぁ色んな研究を都合のいいように集めただけなので、信じるか信じないかはアナタ次第!
ってことで各自研鑽していきましょう。
おわり。
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