形稽古を信頼性の高い実験にする方法を考えてみた

形稽古というのは日本がつくりだした優秀な稽古法だと思います。

 

二人一組になって、お互いに同じ技を研究するというのはとても合理的ですし、科学的なアプローチだという事もできるかも知れません。

 

科学の世界ではけっこう実験結果が間違ってましたということが起こります。

 

ただそうならない為に色々な方法も使われているので、今回はそれを武道の稽古にもあてはめられるのではないかな、というお話です。

 

どうせやるなら合理的かつ効果的な稽古になったらいいなぁと。

目次

プラシーボ効果との戦い
信頼される方法
積み上げたデータが未来をつくる

プラシーボ効果との戦い

科学の研究結果が実は間違いでしたという事態に陥る原因の一つが、プラシーボ効果です。

 

知ってる人もいると思いますが、こいつが思ったよりやっかいなのであります。

 

メイヨークリニックというアメリカの病院の医師であるデイビット・カルメス博士は、

脊椎形成手術という患者の脊椎をセメントで固める手術を長年やっていました。

 

そしてたまに「やべぇ今回はミスったわ」という時がありました。人間だもの、仕方ありませんね。

 

ところがミスっても患者は普通に回復していきました。そういうことが何度かあったため、カルメス博士は思いました。

 

「あれ?もしかして手術いらなくね?」

 

そこで博士は患者を130人集めて何も知らせずに半分には手術をして、もう半分には手術をするフリをしました。

 

その結果、どちらの患者も全員同じ程度に痛みがなくなったことがわかってしまいました。

 

これが恐るべきプラシーボ効果の力です。武道武術でもこんなことあるんじゃないかなと思います。

 

先生の技だけは効く、とか。ある特定の人だけ効く。

 

みたいなことが起こるのは、もしかしたらプラシーボなんじゃねぇかなという可能性があります。

 

科学的な世界でもこういうことはよくあることなので、できるだけプラシーボが関与しない実験方法を考えて来ました。

 

それがランダム比較化試験です。

ランダム比較化試験

ランダム比較化試験をつかっているかどうか、というのは研究論文などで信頼がおけるかどうかのポイントになってきます。

 

やり方は実はさっきのカルメス博士のやったことと同じです。

 

参加者をふたつのグループに分けて、グループAには薬を飲ませる、グループBには偽薬を飲ませる。

 

さらにこの実験を監督する人も、どっちの薬が本物かわからないようにしておくという二重盲検法という手法もあります。

 

ただ薬を飲ませるだけだとプラシーボによって勝手に効果が出てしまうことがあるのです。

 

その他にも先生の意図をくんで都合の良い結果を答えてしまう人もいます。

 

そういったことが無くせるというわけです。

 

参加人数が増えれば増えるほど実験の信憑性は高くなっていきます。

 

何故ならこの世には確率が存在しているからです。例えばコインを四回投げると裏と表が出る確率は毎回1/2ですが、結果は裏、裏、裏、表みたいなことになります。

 

これだけ見ると、このコインは裏が出やすい、みたいな思い込みが発生しますが、さらに100回くらい続けると、だんだんと裏と表の数は1/2に近づいていきます。

 

このように同じ条件で回数を重ねると適正な数値へと回帰していきます。

武道の形稽古でもこうしたやり方をすることで、より効果的な手法を見つけ出していけるんじゃないでしょうか。

 

ただ、さすがに人数が必要だったり大規模な実験みたいなことをするのはハードルが高いです。

 

とりあえずこうしたことを知っているだけでも、自分の中でやり方を変えた時の参考にはなるのではないかと思います。

 

重要なことは信憑性の高いデータを集めることです。

積み上げたデータが未来をつくる

科学研究にはこの先があります。

 

メタ分析または系統的レビューと呼ばれる研究論文です。

 

これまで数多く行われたランダム比較化試験の結果を集めて、この結果に関しては間違いないという結論を導き出すのがメタ分析です。

 

ランダム比較化試験をやっていても、それぞれの研究が矛盾する結果になることがあります。

 

そんなときに、どういう条件設定が違ったのか?

 

何か信頼できない要素がなかったか?

 

みたいなことを調べて比較して結論を出すので、信頼性は高くなります。

 

実験をするとき科学では実験のフレームワーク(枠組み)をつくって行っているというわけです。

フレームワークとはすなわち「型」のことです。

 

やはり色んなことを試して、データを集めて、それを吟味するのがいいというのは何事でも一緒ですね。

 

武道武術では条件設定が曖昧な形稽古があったりするので、そのあたりをよりシビアにするともっといい稽古ができるんじゃないかなと思います。

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ランダム比較化試験以外の研究手法についてはコチラをどうぞ。

色んな研究手法を参考にして武道の稽古を考えてみる

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参考文献

デイビット・カルメス博士の記事(exiteニュース)

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