超能力者じゃなくても相手の心を読めるテクニックと武道武術の共通点

 

超能力者というと大層な感じがしますが、人の過去現在未来を言い当てる人たちがいます。

 

占い師や占星術師、霊媒師や霊能力者といった人たちです。

 

そんなのインチキに決まってるじゃん、という人は多いですがデパートの角なんかに必ず占いコーナーがあり商売として占い師をしている人は存在しています。

 

何で彼らは初対面の人の過去現在未来を当てることができるのでしょう?

 

心理学者でありパフォーマーでもあるイアン・ローランドは、超能力がなくても心を読んだり予知したり子供の頃のことを当てたりすることはできると主張しています。

 

今回はそんなテクニックと武道、合気道の共通点についてです。

※占いや超能力などを純粋に楽しみたい人はネタバレするので読まない方がいいかも知れません。

  目次               
曖昧さが人の心を読む?
何が武道と共通しているのか?
なぜ人は誘導されるのか?

曖昧さが人の心を読む?

イアン・ローランドの超能力がない人のための超能力再現法は『コールド・リーディング 人の心を一瞬でつかむ技術』という本にまとめられています。(1)

 

コールド・リーディングというのは、相手に悟られずに相手から情報を引き出して相手のことをズバズバ当てていく技術のことです。

 

今回はこの本からいくつか面白かったテクニックを紹介してみたいと思います。

こうしたテクニックの最大のポイントは、はっきりと何かを指摘しないということです。

 

絶対に断言せずにどうとでも取れるようにしておくのです。そうすることで、相手は「あれのことか?」みたいな感じで勝手に解釈してくれます。

 

そのために大事なのは相手と信頼関係を築いておくことです。

 

相手が協力的になればなるほど、自分の曖昧な発言を好意的に解釈してくれます。

 

「わたしの能力は不完全なのであなたの強い思いが必要です」

 

みたいなことを言って、相手が協力的になるように仕向けましょう。

 

そして「はい」とも「いいえ」とも言えないような質問をしたり、上手な会話術で相手の情報を引き出していきます。

 

これは詐欺なんかでも、よくある手口のような気がします。

虹色の戦略

そんな戦略のひとつが虹色の戦略です。

 

これがなかなか巧みで、要するにどっちとも取れることを言うのです。

あなたは時として怒りを表に出すことがありますが、その感情がもたらす弊害も理解しています。ですから冷静に自分を傍観することもあります。

 

みたいな感じで、怒りっぽいとも冷静とも取れることを言うわけです。

 

そして相手の反応がいい方へと話を進めていくのです。

 

超能力や占いの力で当たったと思わせることがこうしたテクニックのポイントです。だから部分的にでも当たっていればいいのです。

ロシア人形

ロシア人形というのはマトリョーシカのことだと思われます。

要するに人形の中に小さな人形がいてその中にはまた小さな人形がいるみたいな感じのことを会話で行うわけです。

 

これはまさにマトリョーシカのように質問をして内容が否定されたら、質問の意味を変えてしまうテクニックです。

 

娘さんがいますか?⇒いいえ⇒義理の娘のことかも?⇒いません⇒あなたが名付け親になった娘さんはどうでしょう?⇒いません⇒ここでいう娘というのは親子のような関係の人物も含まれます⇒それだったら・・・

 

というような感じで、質問を外しても延々と当たりがでるまで変則的に内容を変えていきます。

 

この説明ではかなり極端な話になってしまっていますが、超能力的な雰囲気とセットで行うと意外と不審に思ないのです。

 

間違ったことはうまいことスルーさせて、当たったことは目立たせるというのが、相手の心を読んだと思わせるテクニックです。

 

こうしたトリック以外にも、統計的によくあること「胸のあたりにそれほど大きいわけではありませんが問題が忍び寄っているのを感じます」とか、

 

「あなたの死んだおじいさんは背中に痛みがあったことを覚えていると言っています」

 

みたいな感じで、誰もが痛みを感じやすい場所をざっくり指摘するとけっこう当たる!とか。

 

相手の性格と反対っぽい性格をほのめかすと、相手の嫌いな人が当てられる!とか。

 

けっこうおもしろいテクニックが載っています。

 

これを自分でも意味がよくわってない単語、「サイキックバイブレーション」とか「釣られた男の正位置」「魚座の十二宮」といった謎の専門用語と一緒に使うと非常に効果的なんだそうです。

 

こんなの本当にできるのかよ? という人は詐欺界の大発明である「オレオレ詐欺」のことを思い出してください。

 

わしゃこんな詐欺には引っかからん!といっていた多くの老人がウン千万円を奪われたあの詐欺も、ベースにはコールド・リーディングが使われています。

 

オレオレ、というだけで相手が息子だと思うんなら、わしじゃわしじゃと言われただけで死んだおじいちゃんが呼び出されたと思っても不思議ではないのです。

 

あるいはリフォーム詐欺も同じようなものです。

 

無料で点検しますといって信頼関係を築いておいて、床下がシロアリだの、水回りがボロボロだの屋根がどうだのと、

 

いかにもありそうだけど確認のしようのない所が悪いと言って心配させて修理代をもらうというアレも似たようなもんです。

 

ちなみに余談ですがマツリはオレオレ詐欺はオレが作ったんだぜ、というアレオレ詐欺をのたまう人に会ったことがあります。

何が武道と共通しているのか?

こうしたことの何が武道と共通しているのか?という話ですが、これは言ってしまえば陰陽のことです。

 

例えば合気道なんかにも表と裏という表現があります。一般的には正面からいくのが表、相手の力と同じ方向に行くのが裏です。

 

開祖である植芝盛平の監修で息子の二代目植芝吉祥丸が書いた書籍『合気道』では表は入身裏は転換という説明がされています。(2)

 

合気道における入身転換というのは基本のテクニックです。

 

つまり入身転換とは表と裏の二つの作用をうんまいこと使うことで技がかかるということです。

つまり表と裏どちらにでも行ける状態を維持しておくことが、相手を自由に操るコツというわけです。

 

やっていることは自称超能力者のテクニックである虹色の戦略と一緒です。

 

また仮に一度失敗しても、さらにリカバリーできるようにしておけばこれもロシア人形のテクニックのように最終的には技が効いたという結果にもっていくことができます。

 

占いや霊媒が当たったという事実があればいいように、武道でも武術でも最終的に技がかかったという結果が大事なのです。

 

このように言葉のテクニックは、肉体のテクニックとして置き換えることもできるわけです。

 

ちなみにイアン・ローランドはこうしたテクニックは尋問やデートや営業にも応用できると書いています。もちろん詐欺にも使われています。

 

こうした技術は色んな所に応用が利くというわけです。

 

そしてもうひとつ、武道武術とも共通しているものがあります。

 

それは一見すると超能力のように見えるけれど、実はテクニックでどうにかなるということです。

 

武道武術というのは誤解を恐れず言うなら一種の騙しのテクニックなわけです。

 

悟りを開いたとか、めっちゃ長いこと修行したとか、秘伝を授かったみたいな話というのは、実のところ超能力がありますと言っているのと同じです。

 

こう言えば人は集まってきます。でも、これってなくてもできるんじゃないの?という話です。

 

だから武道とコールド・リーディングの共通点はこの二つです。

 

・超能力者(達人)じゃなくてもできるテクニックがある。

 

・イエスでもノーでもない、表でも裏でもない曖昧さを利用する。

 

こうした曖昧さというのは、日本人はけっこう得意なんじゃないかと思っています。

 

日本と言うのは文化的にも協力的なコミュニケーションが優先されていたので、曖昧な表現や言葉が数多くあります。

 

力で言うことをきかせる強引なスタイルよりも、技で翻弄するようなものが好まれたのもこうした背景があるように感じます。

 

曖昧さというのは、色んな人と満遍なく付き合うためのツールであり、あらゆる人を操るための基本でもあるのかも知れません。

何故人は誘導されるのか?

こうした超能力テクニックを仕掛けられた人が当たっていると思ってしまう理由のひとつには、心理的滑り台という心理学的な効果も影響していると交渉術の専門家ロバート・チャルディーニが指摘しています。(3)

彼は手相占いが得意だったのですが、人の手の線が人格を決めるなんてのはナンセンスだとも思っていました。

 

そこでチャルディーニは手相学では頭脳線だと言われている線を感情線ということにして相手を占ってみました。

 

するとそれでも相手は当たっていると驚いたのです。

 

またある時は、相手の親指を反らせて、あなたには頑固な面がありますね?といって正解して、

 

その数時間後にまた同じ人がもっと占って欲しいといってきたので、

 

同じように親指を反らせて、あなたは柔軟性に富んでいますね?と、まったく反対のことを言ったにも関わらずそれも当たっていると驚かれたのです。

 

これは最初に「頑固」という指摘をすることで、その人が自分の頑固な一面にしか目がいかなくなる『心理的滑り台』に乗せられているからだとチャルディーニは説明しています。

 

頑固だと言われると頑固だった時のことを探してしまい結果的に「当たっている」ということになるようです。

 

これはイアン・ローランドも同じで、星座が違う何人もの人に対して、「星占いによる分析のレポート(性格や恋愛、人生や未来などについての長文)」と称した同じ文章を提供しても8割がた当たっていると評価されたそうです。

 

血液型占いなんかも、別の血液型の占いを提示してもほとんどの人が当たっていると思うという実験なんかがあります。

 

要するに人間というのは、色んな側面を持っているので一部を言い当てるのは意外と簡単なことなのです。

 

武道などの講習会でも、その中で一番強そうな人に力任せでもなんでもいいから技をかけてしまうと、後に続く人はみんな同じように技にかかってしまうことがあるそうです。

 

また有名な武道家の講習会などでは、周囲に合わせることで抵抗せずに技にかかるような心理状態になりやすいこともあります。

 

この辺は非常に微妙なところなのですが、武道武術においては心理的な効果で技を効かされてしまっているのか、物理的に正しく技がかかっているのかというのはしっかり検証したいところですね。

 

ちなみに『コールド・リーディング』には、こうした技術への対抗策も載っており、曖昧な態度を許さないことがひとつの解決策とされています。

 

もっと強烈な方法も載っていますが、それはとりあえず本題とは関係ないので置いときます。

 

武道武術にも言えることですが騙しの技術も使いようではありますので、そのあたりをうまく使いたいもんです。

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意外と知られてない武道の哲学を学んでおく:陰陽論入門

騙しのテクニックは武道武術の基本です。それをどう使うかが武道武術の発展の歴史だと思います。

武道と武術の違い:人を騙す企業はいずれ崩壊するという理屈で違いを考えてみる

参考文献

(1)イアン・ローランド『コールド・リーディング 人の心を一瞬でつかむ技術』(Amazon)

(2)植芝吉祥丸『合気道』(Amazon)

(3)ロバート・チャルディーニ『PRE-SUASION影響力と説得のための革命的瞬間』(Amazon)

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