武道はなぜ歩き方が基本なのか?:歩くだけで健康になる人間のメカニズム

大事だということがわかっててもおろそかにしがちなことってありますよね。

武道における歩き方の稽古もそのひとつだと思います。

普段から歩いてるしって考えがちですが、車だのエスカレーターだのエレベーターだのという素晴らしい発明のおかげで現代人ってのは歩くことが少なくってます。

しかしながら、歩くことはメリットがとんでもないくらいあるので、とりあえず歩こうぜというのが今回の記事です。

そのことをわかっていれば、もっと歩きたくなる、そして武道の稽古にも活かそうと思える、そんなことを目論んでおります。

  目次                   
安定するから行動できる
歩くことは人間の基本
武道武術の歩き方

安定するから行動できる

まずはなんで安定して歩く必要があるのかという話ですが、さっそく話を脱線させます。

ペンシルベニア大学で史上最年少で准教授になったアダム・グラントという人がおりまして、彼の書いた書籍『ORIGINALS』では起業など一念発起して成功した人の共通点が説明されています。(1)

それによると一念発起して成功した人の多くは実は安定した職や就職先などを持っていたそうです

公民権運動で黒人の権利を回復させるために尽力したキング牧師、

奴隷解放を行ったアメリカでもっとも偉大な大統領と言われるエイブラハム・リンカーン、

アップルでスティーブ・ジョブズの相棒だった技術者スティーヴ・ウォズニャック、

こうした人たちは実は堅実な本業を持っていました。

革命的なことに挑戦できるのは何も持ってないからではなく、超安定したものがあるからこそ、ということです。

これはどんなことにでも当てはめることができます。

もちろん、歩くことにも。

そもそも自分が安定して歩くことができなければ相手の隙を見抜くことはできません。

昔の空手は揺れる船の上での戦いを想定していたという説があります。

揺れる船の上でも自分だけが安定していれば、船の上でバランスを取れない相手をたやすく倒すことができるでしょう。

逆に簡単にバランスを崩しているようではお話にならないということでもあります。

どんなところでも自分を安定させられるというのそれだけでひとつの強みです。

このように歩き方というのは、初歩であり基本であり、そして武道の核となる部分なのです。

歩くことは人間の基本

歩くのはだるい。そんな気持ちがあることはよくわかります。

しかしながら、歩くことは人間の生命線といっていいくらい重要なことです。

そもそも人というのは歩くことで他の動物と圧倒的な差をつけた生物ですし。

科学的には「歩く」だけで以下のようなメリットがあることがわかっています。

・1日7500歩で体系はスリムになり良い睡眠が取れる(2)

・1日1万歩なら肥満・疲労・不安・怒りが低下(3)

・長時間の歩行すれば脂肪やコレステロール値を改善(4)

・5分歩くだけでも座って考えているよりも創造性がアップ(5)

・速足で歩くと認知能力テスト(通称N-BACK)の成績アップ(6)

・歩きながらだと退屈なことや嫌なことでもポジティブな気持ちでいられる(7)

・若者なら肥満でもちゃんと歩けば甘いものを食べまくっても代謝が改善する(8)

 

これだけの効果が歩くだけで得られます。

また歩きながら本を読むと座って本を読む場合よりも早く読むことができるといった研究もあります。

つまりスマホでも見ながら歩いても、効率は上がるということです。

歩き方が悪いと、身体には様々な不調が表れます。

椎間板ヘルニアなどで腰をかばって歩いている人は、足に負担がかかり、肩の高さが左右平行ではなくなってしまいます。

当然ながら左右どちらかの足を怪我していれば、身体のバランスがズレてしまいます。

また性犯罪などの犯罪者は歩き方が悪い女性を本能的に狙っているという研究もあります。

逆に、歩き方から犯罪者を特定する研究なども行われています。

このように歩き方ひとつでいろいろなことに繋がっていくのです。

正しく歩くということはこれだけ重要なことなのです。

これに加えて武道的な歩き方の稽古したなら、これはもう一石二鳥などというケチくさいレベルの話ではないいということはご理解いだだけたのではないでしょうか。

歩く「だけ」であなたには大きな変化が生れるのです。

そうなってくると、武道における歩き方の重要性がわかってくるのではないでしょうか?

武道武術の歩き方

武道における歩き方には有名なところで『ナンバ歩き』とか『常足(なみあし)』といった名前がついています。

呼び方は色々あるでしょうが、どういうものなのかというと、身体を使った作業全般に使える歩き方のことです。

不安定な足場を難なく歩いたり、山を疲れずに登ったり、あるいは農業などで楽にクワを振るったりするときに使う歩き方です。

そもそもただでさえ重い刀を日本も腰にさして普段から歩いていたり、

戦争になれば刀どころかさらに重たい槍と鎧を持って移動しなければならなかった時代のことを考えれば、

いかに楽に動くかということがどれだけ大事かわかります。

現代ではスポーツなどで素早く瞬間的に動くことが重要視されています。

極端な話、試合時間の間だけ俊敏に動ければ疲れ果ててもいいというのが、スポーツ的な動き方です。

武道では逆に長時間にわたって体力を維持し続ける必要があります。

ではこのような武道的な歩き方をどのように稽古したらいいのか?

当時の侍たちの格好にそのヒントがあります。

映画監督の黒澤明は時代劇を撮影するとき、役者に着物と草履と刀をつけさせて一日ほど放っておいたそうです。

そうすると役者たちが自然に侍らしい歩き方になるのだとか。

このように草履や着物で日常的に重い物を携行したり、足場の悪いところを移動するための歩き方が武道の歩き方なのです。

まずは形から入る、というのも大事なことです。

とにかく歩くことにはいいことがある、だからただ歩くのもいいのですが、さらに武道的な歩き方をすれば一石二鳥じゃあないですか。

どうせ歩くなら、稽古にもなる歩き方をしつつ、健康になろうじゃありませんか。

続きは・・・

では、どうすればこうした武道の歩き方が稽古できるのか?

コチラをご覧ください。

草履で歩くだけ!?武道の歩き方・歩法の方法

参考文献

(1) アダム・グラント『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』

(2)歩数計の測定による身体活動量の違いと成人の健康状態との関連(英語)

(3)1日1万歩によるコミュニティ内の肥満者への身体的及び精神的健康における影響:予備研究

(4)長時間の最小強度の運動(立ち・歩行)は、エネルギー消費が匹敵する場合は座りがちな被験者の中強度の運動(サイクリング)を短時間するよりもインスリン作用および血漿脂質を改善する

(5)アイデアに足(あし)を足(た)そう:ウォーキングによる創造的思考についての効果

(6)歩行中に認知能力は改善される:認知感覚運動の組み合わせの小児と若年成人との違い

(7)歩くだけでポジティブな効果が促進される(例えネガティブな時であっても)

(8)高フルクトースまたは高グルコース食を摂取している肥満青年への歩行は食後のインスリン分泌を減少させる

 

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です