ワンネスの武道的な解釈:すべてはひとつ?!
スピリチュアルな業界ではワンネス(oneness)という言葉がよく使われてるんだとか。
そんな意味でのワンネスってのは何やら素晴らしい効果をもたらす特殊な感覚といった感じ使われてるみたいです。わけがわかりませんね。
ところがドイツにあるマンハイム大学とかいう 聞いたこともない お城の中にある大学ではこのワンネスを一体感と定義して研究をしました。(1)
それによると一体感ってのは「人とのつながり」とか「社会とのつながり」とか「自然との一体感」とか「読書による作者との一体感」みたいな感じになるそうです。
この研究でどうやらこういう一体感を持っている人は、人生に満足できたり学習効率があがったりしちゃうということが分かりました。
それでいったら武道の陰陽の考え方だって一種のワンネスだろってことで、変な対抗心を燃やしつつ、そんな視点から武道を見ていこうというのが今回の記事です。
目次
・物事は本当にひとつになるのか?
・なぜ学習効率があがるのか?
・武道のワンネス「陰陽」
物事は本当にひとつになるのか?
宗教ってのはやっぱ同じ思想の人の集まりなんで、一体感を得やすいんでしょうね。
でも武道武術だって宗教的なところはあります。
宗教だって非科学的って批判がありますが、そーでもないんですよね。
科学ってのはもともと自然哲学って呼ばれてて宗教研究の一部でした。
万有引力を発見したあのニュートンは、神がつくりだした法則を理解するために「哲学」として研究を行っていたのであって当時はまだ科学という言葉はありませんでした。
このように宗教と科学と言うのは今では違うもののように思われていますが、もともとはひとつなのです。
そもそも人間だってDNAをたどって祖先を探すと最後はアフリカのひとりの女性に辿り着きます。
卵が先なのか鶏が先なのかはわかんなくても、あらゆる生物がひとつの生命から生まれてきてるってことはわかってます。
最初はひとつだったものが、色々と枝分かれして違うものになっていったのです。
このような感じで物事ってのは、つきつめればひとつになっちゃいます。
ただ、スピリチュアルに唯一神がどうたらこうたらみたいなことではなく、現実としてそうだよねっつー話です。
少し難しい話になりますが、合気道開祖は「祭政一致」という言葉をたびたび口にしていました。
祭政一致というのは、もともとお祭りと政治(マツリゴト)は神を祀るというマツリゴトから来ており、同じものだという意味です。
神のお告げを聴くためにお祭りをやって、神のお告げによって政治を行っていたのです。
このほかにも真釣(マツリ)という言葉もあります。
神と人とを真に釣り合わせるというのが真釣(マツリ)の意味するところです。
お祭りと政治も今ではまったく別ですし、政教分離なんて言葉もありますが、もともとは同じものから始まってるってことですね。
「陰陽」もこういう考え方と一緒です。
なぜ学習効率があがるのか?
前にも書いたことになるのでサクッと書きますが、武道武術では武器が基本です。
武器を基本にして素手を応用だと考えれば武器だけやってても応用が利きます。
このように、どんなことでも応用が利くように学習しておくべきなのです。
武器だからこう使う、素手の時はこう使う、とわけて考えていると多くの練習時間が必要になります。
広い視野をもって原理は一緒だと考えると色々なことの理解がはやまります。
記憶を関連させて覚えることをチャンク化といいます。チャンクというのは塊のことです。
なんでもそうですがまったく新しい知識を覚えるのはめんどくさいもんです。
しかし、「武道での武器の使い方と木の切り方は一緒」みたいな感じで知っている知識の応用だと考えると新しいことでも記憶に定着させやすくなります。
クワの振りも剣の振りも一緒だという言葉もあります。
道具の使い方が等しく同じだということがわかれば、農作業やまき割りなど別のことにも応用がききます。
応用するのと1から学び始めるのとでは効率が違ってきます。
それぞれが別物と考えるよりも、違うように見えて実は同じという風に考えるほうが学習効率があがるってことです。
宗教を信じる人の学習能力が高くなるのはこういった所にあると考えられます。
要するに新しい知識をまったく知らない知識と考えずに、宗教に関連した知識だと思うだけで知識に対する拒否感なども減らせるのかも知れません。
スピリチュアルだろうがそうじゃなかろうが、そういう考え方を持っとくといいよって話ですね。
そして武道では陰陽がその考え方になります。
武道のワンネス「陰陽」
陰陽という考え方もベースは宗教にあります。しかし、ある意味でこれは普遍的な真理でもあります。
陰陽についての考え方は以前の記事を参照してもらうとして。
こうしたワンネス的な信念があれば、
色々な物事に対して、まったく異質のものではなく、共通したものとして受け入れることができます。
異質なものの共通点をつなげられるってのは、頭のいいひとの特徴だとか言われてたりもします。
こういったものは昔から武道武術には取り入れられてきました。
沢庵宗彭の「不動智神妙禄」や、山岡鉄舟の「剣禅話」などはこうした陰陽の思想と一体となった哲学が書かれています。
重火器が存在する現代で徒手空拳の戦い方を研究することは悪く言えば時代遅れです。
しかし、技だけでなくこうした哲学を学ぶことで現代社会に活かすことができます。
別に陰陽の考えでなくとも、武道武術と社会との共通点を考えてみるのは悪い事じゃあないでしょう。
どうせやるなら人生そのものを良くするのに使ってみたらいいんじゃないかと思います。
最後に宗教に関しての若干の補足をしときます。
インペリアルカレッジロンドンとかいう 長ったらしい名前 イギリスの公立研究大学の研究によれば、宗教を信じる人はバイアスがかかることがわかってます。(2)
自分には神がついてるからみたいなことを考えてるせいで、直感的な判断をしてしまいがちになってアホみたいな選択をしてしまうことがあるみたいです。
信じることにも信じない事にもメリットデメリットがあるんで、うまいこと利用したいもんですね。
ワンネスにしても同じことですが、自分にプラスになるよう利用することが大事です。
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隙をつくらない為にはどこを意識すればいいのか問題の今と昔:不動智神妙禄より
参考文献
(1)Oneness Beliefs and Their Effect on Life Satisfaction
英語論文:ワンネスの信念と生活満足度への影響※ワンネスという信念が本当に宗教的な効果なのかについても研究されています。基本的に宗教を信じていなくてもワンネスの信念があると満足度が高くなるそうです。
英語論文:推論と宗教の負の関係、直感と論理が矛盾しているときの直観的な反応はバイアスが支えている