言霊についての合気道スーパーマニアック考察
これは合気道をやっていたり、興味があったりして開祖である植芝盛平の著書を読んだことのある人向けという、とんでもなくマニアックな人向けの解説になります。
正直なところ、開祖の著書というのは一見さんお断りの創作料理屋みたいな感じなので、解説する側も知った風なことを書くだけになってしまうのですが、
何の解説もなく開祖が残した文章を読んでも、ほとんどの人は変な宗教の話くらいにしか考えないと思いますので、
あくまでも合気道開祖の本を読んでみようかなという奇特な人が、途中でわけわからなくなって挫折しないための知識になったらいいなと思います。
あくまで個人的意見です。この意見が絶対に正しいというものではありません。
目次
・言霊とは陰陽のこと
・言霊がなぜ陰陽になるのか?
・言霊について知っておくべきこと
言霊とは陰陽のこと
一体何回この話を繰り返すんだ?と言われるかも知れませんが、
開祖の残された本を読むと、ほとんどの人が困惑する宗教的な単語が多数あります。
「言霊」「一霊四魂」「三元」「八力」「天之叢雲九鬼サムハラ龍王」「天の浮橋」
などがそれに当たります。
これ、なんのことかわかるかと言われてわかる人はほぼいないと思いますが、実はちゃんと意味を調べで行くと全部が陰陽に繋がります。
つまり、同じことを色んな表現で説明しているだけなのです。そして、ね?全部一緒でしょ?と言いたかったのではないかと思われます。
残念ながら開祖が考えていたよりも、神道の単語はマイナーだったというのが、唯一にして最大の誤算だったのではないでしょうか。
まあ、日本史上類を見ないほどの超宗教家である出口王仁三郎がひたすら口述で筆記させたギネス級の書物『霊界物語』(全83冊)の作成現場に立ち会ったりしていたので、(1)
開祖の感性がかなりズレているのは仕方のないことでしょう。
絶対に予言を的中させる方法:合気道マニアのためだけの出口王仁三郎に関する考察
言霊がなぜ陰陽になるのか?
言霊のどこが陰陽なのかを説明する前に、まず開祖が書いている言霊についての文章を読んでもらいましょう。
読解力に自信がある人だけ全文を読んでみてください。
ス―――ウ―――ア(言霊の発声をなさる)
これからアオウエイが発生します。
アオウエイは八力の現れであり、この言霊の働きで宇宙が出来たのであります。
タカアマハラの六言霊、またアオウエイ、三元八力のご生顕、七十五の言霊のみ心の現れであります。
三元とは、気、流、柔、剛のことです。
またイクムスビ△、タルムスビ○タマツメムスビ□であります。
これが合気道の武産であります。
武産とは引力の錬磨であります。『武産合気』の序盤より抜粋(2)
こんな感じで開祖は(多分)わかりやすいように懇切丁寧に言霊がなんなのかについて解説してくれています。
恐らくはものすごい量のつっこみ所があると思うのですが、とりあえず今回は言霊についてだけ解説します。
まず前提知識として言霊というのはひらがな全部ひっくるめた七十五種類あって、そのすべてにそれぞれ隠された真の意味みたいなのがあるということらしいです。
それから、母音はア行イ行ウ行エ行オ行となるため、アイウエオがやっぱ重要視されてるっぽいです。
くらいのことを知っとくといいんじゃないでしょうか。
言霊については砂泊兼基という合気道9段で万生館合気道の創始者である砂泊諴秀先生のお兄さんにあたる人が書いた『植芝盛平伝「武の真人」』に詳しく書かれているので抜粋してみます。(3)
砂泊家というのは熱心な大本教の信者だったらしく、砂泊諴秀先生が本来なら武道経験が必要だった合気道に10代で入門できたのもそのコネがあったから、
みたいな話をチラッと聞いたことがありますが、本当かどうかは定かではありません。
ともかく、大本教の言霊の考え方を知っている人による解説なので、少なくとも他よりはアテになる資料だと思われます。
そこには言霊についてこのような記述があります。
『アという字体そのものを肉眼で見える体として、人が口を開けて発するアという音を霊と見立ててしらべると理解できるのである。』
要するにアという字が身体であり、アという音が精神であるってなわけです。
つまりアという言葉には物体としての姿と心としての姿がありますよというわけです。
これが陰陽です。表と裏、上と下、体と霊、ふたつの相反するもののことです。
さらに言霊の説明を続けましょう。
「ア」の言霊の働きは、これが陽に働くときは顕出(あらわれ)の言霊といい、陰に働くときは隠(かくれ)入る意義を持つ。
さらに陰陽という言葉が出てきます。言霊には正の意味の時と負の意味の時がありますということらしいです。
超乱暴に解釈すれば、言霊というのは陰陽のひとつの象徴ということになります。
また開祖は「武産合気」でこのようなことを書いています。
霊も物質も言霊であるし、宇宙の実体も言霊であります。(中略)これを生かす言霊の妙用が合氣道であります。
要するに言霊というのは陰陽のことであり宇宙の実体(すべて)のことだということです。
言霊について知っておくべきこと
ちなみに言霊については「武の真人」ではこのようなことも書かれています。
おそらく、人がその全生涯を費やしてもその総てを知ることはできないであろう。
とのことです。
つまりは言霊をマジで読み解こうとしたらアカンということですよね。多分。
「武産合気」では開祖もこのようにおっしゃっています。
言霊なる学問は、信仰のある人は学ぶ必要はありません。
しかしその徳によって自然にわかってくるのである。言霊学は学問であって、ことたまではない。
霊学する人は本当の力をもつことは容易でない。言霊学は古事記一巻を拝読するのには便利だが、これも信仰の徳によって自然と明らかになってくるのである。学問に又文字にとらわれるとかえって真の歩みの邪魔になる。
この言葉を信じるなら、とりあえず言霊については、
陰陽のことであり、それが合わさった宇宙すべてのことでもある。
くらいに考えとけばいいのではないでしょうか?
というのが私の提案です。
言霊のことはこれ以上よくわからんし、調べるのがめんどくさい やっぱ真の歩みの邪魔になってはいけないですからね。
あと、言霊の意味についても開祖の本では色々と出てきますが、これもそのまま信じとけばいいんじゃないかと思ってます。
別に使うことはほとんどないでしょうし。
『武の真人』で説明されていた言霊をまとめるとこんな感じになります。
ア 陽:現れ 陰:隠れ
ウ 陽:結び合う 陰:隠れ背く
エ 陽:幸に進展 陰:えぐる
ヤ 陽:外から覆いかぶせる 陰:内側を貫通する
正直なところいくらでもこじつけられるような気もするので、「そういうものなんだなぁ」くらいの理解でいいのではないかと思っとります。
以上が開祖の言葉を理解する上で最低限必要と思われる言霊の知識になります。
なんか違う解釈があったら教えてください。
つづきは・・・
一霊四魂三元八力という謎の言葉についてはコチラ
開祖の魔法の言葉『一霊四魂三元八力』についての合気道スーパーマニアック考察
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